最近仕事が忙しいが(某金融会社の営業案件の優先順位付け)、守秘義務の関係でblogには書けないので別の話。仕事・勉強の合間に先輩に薦められて読んだのがこの本。私は元来挫折して、挫折にめげずに成功した人が好きなのだが、この大前さんはすざましい。
大前研一さんは経営コンサルタントの第一人者で、元マッキンゼー社長にしてUCLA教授など歴任。理論明晰、百戦無敗の人かなと思っていた。しかし実は94年の都知事選(青島幸男が当選した時)で惨敗してたんだって。私財6億円とマッキンゼー社長の座を投げ打ってでも氏が実現したかったものは何なのか、という質問に対する答えが書いてある本。また都知事になって何がやりたかったも書いてあるが、そのビジョンは本当に素晴らしい。実際300箇所をバイクで回って、開かずの踏切を一個一個調査した所も「現場主義」たるゆえん。ほんまもったいない。下記のエピソードもあって興味深いので、時間があれば是非☆
・氏がプレゼンテーション技術を駆使して都政を良くします!と演説したが反応はいまいちだった。しかし奥さん(アメリカ人です)が「私は日本も政治もよくわからないですが、日本文化は好きです。」といって縦笛を吹いた後、皆は拍手喝采した。
・氏が立ち上げた政策立案団体「平成維新の会」で92年の衆議院選挙で支援した議員は107名でうち96名が当選。当選した暁には全員が氏の作成した83法案(「大前研一レポート」参照)を国会で通すことに賛成。しかし現実には2法案のみ審議され結局2法案とも廃案。そればかりか氏が都知事選に立候補した際には、皆支援を拒否し、結局実名で2名しか応援が得られなかった。
・都知事選挙に敗北した後、氏の親友の加山雄三氏が「今日は黙って俺の言うことを聞け」と“叱った”そう。「あんた滑稽だよ。全部自分で分析して、全部自分で答えを持ってて。だが、あんたの話は『底辺』の人々が唸るもんじゃねえ」。